社会科学研究会

一人の人間を救えない社会科学なんていらないー日本のこと、世界のこと、人間のことを真剣に考え発信します。

寛容の意味

今回は、寛容とは何かについて考えてみようと思います。そもそも人間は互いに異なるからこそ、認め合うことが可能になるのだと私は思います。もしも人々の価値観の画一化・同一化が進んでしまったら、人々は互いに寛容ではなくなってしまうのではないでしょ…

日本という戦場

先日、私がいつも利用するJRの駅にて駅の券売機の所で硬貨を落とした人がいました。その時、私は硬貨を拾って持ち主に渡しました。私が電車に乗り込む時に、今度は後ろに並んでいた先ほどの人とは別の人が私の切符を拾って渡してくれました。どうやら、切符…

西郷隆盛ーことばでは語りえないもの

明治十年(1877年)、近代の日本では最大でありかつ日本史上最後の内戦が起こりました。内戦を主導した人の名は、西郷隆盛。その戦いは、西南戦争と呼ばれています。今回は、西郷隆盛という人物に着目し、これからの日本と世界のために何が出来るのかを考え…

人民の代表はありえないのか

政治体制の一つに、議会制民主主義または代議制と呼ばれる制度が存在します。それは、議会のメンバーである議員を市民による投票によって決定するシステムです。日本における国政選挙、そして地方議会の議員を選ぶ選挙においてもこの制度が採用されています…

新しい人権

日本国憲法の第三章(国民の権利と義務)には、各種の人権規定が置かれています。いわゆる人権のカタログと呼ばれているものです。そこには例えば、思想良心の自由や信教の自由、集会・結社・表現の自由など他にも様々な人権規定が置かれています。日本国憲…

父とは何か

「子にとって母親はこの上なく確かであるが、父親は常に不確かである。」これは、ローマ法の格言の一つであり、今までに繰り返し言われてきました。近代の家族法においても、この論理が引き継がれています。つまり、母親は子の嫡出という事実によって明らか…

憲法改正の是非

昨今、日本国憲法の改正論議が行われるようになりました。私は、日本国憲法の改正について積極的に賛成の立場でも反対の立場でもありません。しいて言えば、憲法改正の論議はあった方が良いと私は思いますが、絶対に改正すべきだとは思えません。私はどうし…

日本人であること

私は、日本人です。しかし、私が日本人であることはどのように規定されているのでしょうか。日本人とは何でしょうか。今回は、このことについて考えてみようと思います。日本人は、日本語を用います。日本人は、日本国籍を持っています。しかしこのことは、…

現状論と規範論

今回は、規範とは何かについて考えてみようと思います。人間にとって規範というものは、必要不可欠なものではないでしょうか。なぜなら、人間は先のことを考えてしまう生物であるからです。人が安定した気持ちで生活することが出来るということは、何らかの…

ナショナリズムと文化

ナショナリズムとは何か。今回は、この問いに対して考えてみようと思います。ナショナリズム(nationalism)という言葉は日本語では、国家主義、国民主義、民族主義などと訳されています。ナショナリズムという言葉が何故このように多様な呼び方をされるのか…

生きのびるために

昨今、「なぜ生きるのか」「生きるとは何か」ということが多く語られているように感じられます。しかしそもそも生きることに、目的や理由など存在するのでしょうか。近代以降、「なぜ生きるのか(=Why we live)」ということが重要視され、「どのように生きる…

なぜ反革命なのか

革命という言葉を、私は信じることが出来ません。何故なら革命は、何かを壊すことしか出来ないからです。私は、大事なものを壊していく人々に賛同することは出来ません。フランス革命は、封建制と王制を破壊しました。さらにマルクスは政治の問題を経済の問…

外国人の人権

現在の主権国家体制においては、国家は自国の国民を守るものとされています。しかし、当該国の国籍を持っていないいわゆる外国人の権利や地位はどのように規定されるのでしょうか。外国人は、どこの国においても存在し得ます。例えば、私は日本国籍を持って…

認知症男性の列車事故訴訟・控訴審判決(2014年4月24日)

2014年4月24日、名古屋高等裁判所にてある訴訟の控訴審判決が下されました。名古屋高裁は、2007年に愛知県大府市で電車にはねられ死亡した当時91歳の男性の遺族に、JR東海の振り替え輸送代など359万円の支払いを命じました。男性は当時、認知症を患ってい…

なぜ人権なのか

「人権」(human rights)という言葉は、今日様々な機会に耳にするようになりました。日本国憲法も、第三章に人権の規定を置いています。人権とは何か。なぜ人権が必要なのか。今回は、そのことについて考えてみようと思います。人権とは、人間が生まれなが…

或る問題の対処方法

今回は、今から五年前に起こったある事件について考えてみようと思います。この事件について個人的には本当は触れたくなかったのですが、いずれ考えなければならない問題であると思ったので、書くことに致しました。2009年8月15日に都内の靖国神社にて、ある…

現実の人間の感触

人間にとって怖ろしいものとは、何でしょうか。私は、現代に生きている人の中で人間を怖ろしいと感じている人はかなりの数存在すると思います。現代文化は、必然的に人間を怖ろしいものだと思わせるような文化であるからです。なぜ人間は、自分と同じ人間に…

脱リスク社会へ

現代に生きる人間は労働だけに多くの時間を使っていたり、学校の活動だけに多くの時間を使っていたりします。一日の時間の大半を特定の事だけに使うことによって、リスクが特定の場所に集中して現れることになります。例えば、仕事に一日の大半を費やしてい…

私的自治の原則とはー制限行為能力者制度の観点からみる

日本をはじめ多くの国が西洋諸国の影響による近代化を経てきた現在、日本においても近代市民法の三原則と呼ばれるものがあります。その三原則とは、「権利能力平等の原則」、「所有権絶対の原則」、「私的自治の原則」と言われるものです。「権利能力平等の…

社会と公共性の論理

社会とは何か。今回は、この問いに対して考えてみようと思います。元々、「社会」と言う言葉は日本語由来の言葉ではありませんが、私自身が考える社会というものについて書きたいと思います。「社会」と言った時に、確かに一人の社会や二人の社会というもの…

聖徳太子の政治

今の日本を作ったのは誰なのか。今の日本人の心の淵源は、どこにあるのか。そう考えるとき、私の心には必ず一人の人物の存在が思い浮かびます。それは、聖徳太子という人物です。聖徳太子は、推古天皇の摂政として様々な抜本的な政治改革を行いました。彼が…

東日本大震災ー愛のかたち

2011年3月11日、東日本を中心に大地震が起こりました。私はこの大震災を直接体験したわけではないのですが、震災を直接体験しなかった者として個人的な思いを書きたいと思います。私は2011年3月11日、日本にはいませんでした。その時、私は外国に旅行に行っ…

チトーの目指した世界

かつて、ヨーロッパのバルカン半島に一つの国がありました。その国は、「南スラブ人の国家」という意味を込めてユーゴスラヴィアと呼ばれました。今日は、ユーゴスラヴィア建国の父であり初代大統領でもある人物について書きたいと思います。その人物とは、…

民主主義とは何か

民主主義とは何か。今回はこの問いについて考えてみたいと思います。民主主義とは元々は、少数の市民のための政治でした。紀元前にアテネで民主制が行われていた時、市民の数の割合は全体の約2割程度だったとも言われています。当時は多数の奴隷が存在してい…

心の平和ー新しい安全保障

安全保障の概念は、これまで国内と国外という条件(主権国家)の確立と共に国内の人間、生命、財産等を国外から守るという前提から考察されてきました。それは、17世紀以来の主権国家体制の成立という歴史的な事情を考えれば、当然のことだと言えるでしょう…

国際関係を見る方法

国際関係を見る方法には、様々なものがあります。いかなる部分に着目するかによって、または国際関係を見る立場によって、見解が分かれることは当然のことだといえます。私は、国際関係は基本的にこの見解の不確定さと多様性によって規定されていると考えま…

札幌・姉妹孤立死事件(2012年1月20日)

今回は、ここ数年間で私が最も衝撃を受けた事件について書きます。2012年の1月、北海道札幌市で事件が起こりました。札幌市のあるマンションの一室で、40歳代の女性二人が遺体で見つかりました。この二人の女性は、姉妹でした。お姉さんの方は自らが病気に苦…

TPPと経済ナショナリズム

日本は現在、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉に参加しています。TPP参加の是非について様々なことが言われていますが、TPP参加について反対する立場の一つに経済ナショナリズムといわれるものがあります。簡単に申し上げると、経済ナショナリズムは…

個人主義の日本

かつて日本が、これほどの個人主義の国になったことがあったでしょうか。今や日本という国は、以前には当たり前だったことが出来なくなっているのです。個人主義というものは、恐ろしい病です。個人主義の最も恐ろしい所は、誰もが同じ原則に従わなければな…

日本の外交

日本の今の状況を見て、1853年にペリー(Matthew.C. Perry)が黒船を引き連れて浦賀に来航したというのはそんなに昔の話に思えるでしょうか。はっきり言ってその頃から日本は何も変わっていないのではないか、私にはそう思えます。なぜなら日本は、今も昔も…