社会科学研究会

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日本の外交

 日本の今の状況を見て、1853年にペリー(Matthew.C. Perry)が黒船を引き連れて浦賀に来航したというのはそんなに昔の話に思えるでしょうか。はっきり言ってその頃から日本は何も変わっていないのではないか、私にはそう思えます。なぜなら日本は、今も昔も自国のことを真剣に考えていないからです。では、何が日本をそうさせているのか。その大きな要因の一つは、日本の地政学的な状況にあると私は思います。日本は、四方を海に囲まれていてます。このことは、国の安全を確保する上で有利となりうる一方、他方では自国の安全保障に関して気をゆるめる原因にもなってしまいます。日本は外国と海を隔てているとは言え、外国はすぐに攻めてきます。1853年に、いきなり押し寄せて来た大量の黒船を見て当時の人々は驚いたことでしょう。日本にはそのような常識がなくとも、相手側にはあります。自分の身に危険が迫っているにも関わらず、今起こっていることは所詮海の外での出来事なのでしょう。それゆえ、日本の外交姿勢は当然、次のようなものになります。①危険が迫っていることにそもそも気がつかない。②もし気がついたとしても、その時点で何か有効な策を打とうとしない。(外交政策を抜本的に変えようとはしない。)③重大な危機が自国に直撃するまで放置していたため、いきなり日本列島に衝撃が走る。④何の対策も講じてこなかったため、慌てるばかりで正しい判断をとることが出来ない。⑤一時の危難が去ったら再び気をゆるめてしまう。そう考えると、どうやら日本にはゼロか百かの完璧主義の外交しか無いようです。しかし、完璧主義の外交ほど自国を危険にさらしてしまうものはありません。外交というものは本来、完璧主義的に考えるべきではないのです。むしろ身近に小さな危険はあった方が良い。痒い部分は自分の手の届く場所にあった方が良いのです。小さな腫瘍でも自分の気づかない所にあれば見落としてしまい、大事になってから気づくということもあり得るでしょう。外交においても、完璧というものはあり得ないと考えた方が良いのです。